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| 自ら作成した鯖街道・略図 |
琵琶湖側から比良山地を越えたところに、「鯖街道」と呼ばれる道があることは以前から知っていた。
福井県の小浜と京都を結ぶ若狭街道の別称で、福井から山越えで一旦滋賀に入り、安曇川沿いを上流に向かって再び山越えで京都に入る。日本海で捕れる魚介類を運ぶルートだと聞いていた。
しかし、なかなか行く機会がなかった。10年以上前に仕事で大津に暮らしていた時であれば、週末にその気になれば行くことはできただろうが、結局一度も行かないままに東京へ転勤になってしまった。
それからも幾度となく滋賀を訪れ、湖西の安曇川の河口にある古墳へ行ったこともあったが、そこから川を遡り朽木谷といわれる安曇川が左にほぼ直角に曲がっている辺りへ行くことはなかった。
このたび鯖街道沿いにある「比良山荘」へ行くことができた。熊の肉を食べることができると聞いて以来、いつか行ってみたいと思っていたが、故郷の広島に帰省した帰りの日曜日に立ち寄った。
休みの日に私のこんな道楽に付き合ってくれたのは、中学校の時からの友人の秋光伸二郎君と市橋正敬君である。私立の中高一貫に6年間通っていたが、秋光とは大学まで10年間同じだった。
秋光は大阪で単身赴任をしていて市橋は川崎に住んでいたので、京都駅の八条口にあるMKタクシーの専用乗り場で待ち合わせることにした。
MKタクシーを予約する時に行き先を「比良山荘」と告げると、片道で40分ほどかかると言われた。夕方の営業時間は午後5時からなので、午後4時からタクシーを予約した。会食の時間を3時間とすると、京都駅に戻るのは午後9時ぐらいになるので、東京の自宅に着くのは深夜になるとわかっていた。
昼過ぎに広島の実家を出て、京都駅には午後4時の待ち合わせよりも早く着いた。MKタクシーの専用乗り場は八条口のすぐ近くだとわかっていたので、京都駅構内の土産物屋を覗いていたら思いのほか時間が経って、専用乗り場に着いた時は午後4時を少し回っていた。
秋光と市橋は早めに来ていて、誘った方が遅れて申し訳ないとお詫びを言いながらワゴンのタクシーに乗った。ワゴンを指定した訳ではなかったが、「比良山荘」までの長時間のドライブにはとても快適だった。MKタクシーは料金が5千円を超える分は半額にする等の独自のサービスで知られている。
大原口から「比良山荘」のある葛川までの間に、終点なのに「途中」というバス停があるのをタクシーの運転手さんが教えてくれた。名前の由来はウィキペディア等をご覧いただきたい。因みに、2021年3月のダイヤ改正により終点でなくなり本当に途中になったそうである。
数日前に降った雪が道路脇に残っていたが車の通行に支障はなく、花折峠を越えて順調に「比良山荘」に到着した。営業開始の少し前だったが、玄関で名前を告げると中に入れてくださった。
夕方の会食は予約制で他にも予約が入っていたが、我々が一番乗りで二階の部屋に案内された。古民家の調度品を眺めている時に、調子に乗って女将さんと一緒に写真を撮ってもらった。
山菜などの前菜の後、「月鍋」(熊肉のしゃぶしゃぶ)が運ばれてきた。「熊の肉は、すべての肉の中でもっともピュアでうまい肉」と三代目当主が惚れ込み、試行錯誤の末たどりついたと「比良山荘」のホームページに書いてある。
食事をしている時、ご当主の伊藤剛治氏自ら我々の席に説明に来られた。熊の肉はとても美味であり、一番強い熊が良い餌を食べているので最も美味しいと言われた。そのような熊は森の奥深くに棲んでおり、それを見つけて血が回らないように一発で仕留めるのが難しいそうだ。
京都は年間を通じて熊は禁猟であるが、滋賀は冬期の数カ月間だけ熊の狩猟が認められている。ご当主が仕留めたボス熊の「月鍋」を堪能することができ、とても満足して帰路に付いた。
(鯖街道②へ続く)

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