私には師と言うべき人が数名おられるが、石原和昌氏はその一人である。石原さんが亡くなって1年半近くが経過した。
石原さんにはとても良くしていただいた。ご自宅に伺って執筆に関する話を聞いてもらったり、書籍も何冊かくださった。
しかし、亡くなられる少し前から私の方が体調を崩してお会いすることができず、残念ながら訃報も後から知った。
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| 『企業存立の条件』(日本経済評論社、1987年) |
石原さんは中小企業金融公庫(現在の日本政策金融公庫中小企業事業)の先輩で、3冊の著書を出版されている。1冊目は『企業存立の条件』である。
新潟支店長をされていた時に書かれたもので、生物学及び生態学と産業論、企業論とのアナロジーに着目した名著といえる。
第1章の「結び」に書かれた「永遠に生き続けることを願うならば、全ての執着を捨て、常にシステムの革新を怠ってはならないのである。」という一節は永遠の真理であろう。
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| 『良知の人 河井継之助』(日本経済評論社、1993年) |
勤め先の先輩とはいえ仕事上の接点はなく、私の入社時に新人研修の懇親会で人事部次長だった石原さんと挨拶を交わしただけだった。
石原さんが執筆された河井継之助が陽明学派であり、拙著『「びわ湖検定」でよみがえる』で触れた中江藤樹が我が国の陽明学の始祖というのが接点になった。
石原さんの最後の著書は『経営の突破口は儒学にあり』である。著名な創業者について、朱子学と陽明学の観点から記述している。
儒学に造詣の深い石原さんならではの著作と言える。巻末に「あなたは朱子型か陽明型か」という判定チェック・リストもあって面白い。
河井継之助が好きなことでわかるとおり石原さんは陽明型だったが、朱子型の良さも持ち合わせたバランスの良い方だった。
私の記憶の中の石原さんは今でも生きている。師から教わったことを大切にして自らの道を歩んで行きたい。





