2025年5月26日月曜日

ウンベルト・エーコ

 

 イタリアの知の巨人と言われ、『薔薇の名前』の著者として有名なウンベルト・エーコの遺作『ヌメロ・ゼロ』(中山エツコ訳、河出書房新社、2016年)。その「あとがき」にエーコ自身の次の言葉があった。

 私たちの存在は私たち自身の記憶にほかならない。記憶こそ私たちの魂、記憶を失えば私たちは魂を失う。(206ページ)

 拙著『やっぱり滋賀が好き』の「あとがき」で、上記のエーコの言葉を引用しつつ、私は次のとおり書いた。

 過去を振り返るとき、共通の記憶をもつ人の存在は大切である。人は現在を生きているわけだが、過去を共有する人がいれば人生の楽しみは倍増する。すでに亡くなった人も、その人を記憶している人にとっては生きた存在なのだ。(219ページ)

 本当にそう思う。


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