広島へ帰省するのに東京から車で行くことになって途中のレストイン多賀に泊まった。ハイウェイホテルでサービスエリアの片隅に専用の駐車場とホテルの入り口がある。
2階の受付まで階段だけでエレベーターがなく、キャリーバックを引きずる私にとってはバリアフリーでないのが残念だったが、大浴場があるのは有り難かった。
ツインの部屋はシンプルで快適だった。つかの間の休憩の後、早速大浴場へ向かった。長時間の運転に疲れた体には暖かいお風呂が心地良かった。
風呂から上がってサービスエリアへ夕食に出かけ、昼食が遅かったので、軽めにハンバーガーを食べた。
2回目の風呂の後に飲むビールを買おうとしたが、売店に見当たらない。売り子の人に聞くと、高速道路上なのでアルコール飲料は売ってないと教えてくれた。
その時、古い記憶がよみがえった。30年以上前に仕事でニューヨークに1年ばかりいた時、休暇にロサンゼルスへ旅行に出かけた。
空港でレンタカーを借りて、何マイルも真っ直ぐに続く道路をラスベガスへ向かい、グランドキャニオンを覗いて、モニュメントバレーの近くのモーテルに泊まった。
ビールでも飲もうと思って売店で聞いたところ、アルコール飲料はこの地域では販売していないと言う。車で何マイルか先へ行って地域から出ないとダメだと言われた。
地域というのはインディアンの居留区のことである。アメリカには州境と別にインディアンの部族ごとに決められた境界がある。
インディアンはアルコール依存度が高いので、アルコール飲料の販売が禁止されているというのだ。インディアンにアルコールと性病を持ち込んだのは白人と聞いたことがあるが、その結果がこんなことになるなんて迷惑な話である。
さて、レストイン多賀の入り口のそばに胡宮(このみや)神社への順路を示す看板があった。調べてみると、もともとは敏満寺(びんまんじ)の境内にあった鎮守社だそうである。
敏満寺は聖徳太子開基の天台宗の寺院で、湖東三山と並ぶほど盛えたとされている。この一帯は聖徳太子開基という寺院が多い。
しかし、「胡」は古代中国の北方・西方民族であり、中国からの渡来人と関係があるのではと思ってしまう。湖東三山の一つは百済寺(ひゃくさいじ)であり、朝鮮との関係があるに決まっている。
多賀から蒲生野にかけて琵琶湖と鈴鹿山地の間に平地が広がっている。大陸から日本海を越えて来た人達が琵琶湖を丸木舟で渡って、たどり着いたところに定住した可能性は十分あると思う。
翌朝の散歩に胡宮神社へ行こうとしたが道を間違えて行けなかった。レストイン多賀は名神高速の下りのサービスエリアにあり、そこから歩いて胡宮神社まで15分ほどなのに高速を跨ぐ歩道橋を渡って上りのサービスエリアへ行ってしまい、出発までもう時間がなかった。
でも悔やむことはない。実は広島から東京への帰りもレストイン多賀で一泊の予定になっている。その時に歩道橋を渡って胡宮神社へ散歩に行けばいい。