司馬遼太郎は「街道をゆく」1の「湖西にみち」の冒頭で、「『近江』というこのあわあわとした国名を口ずさむだけでもう、私には詩がはじまっているほど、この国が好きである」と書いた。文豪と比べるようで恐縮だが、僕もそれくらい滋賀県が好きである。大きな琵琶湖の周りには、僕の好きな場所がいくつも転がっている。その中の一つ、「琵琶湖周航の歌」資料館へ行った。JR湖西線の近江今津駅と琵琶湖汽船の今津港の間にある。今津港から竹生島へ渡ることができ、お天気が良ければ竹生島の後ろに伊吹山が見える。資料館で久しぶりに受付の方と話すことができた。5年以上経っているが、僕を憶えておられた。湖西の静かな佇まいは素朴で、住人の人柄も優しくて美しい。自分のお土産に写真の絵葉書を買った。